2012年10月13日土曜日

後期会議前に確認したい6つの「努力」



カーターvs. フォード。議論の最高決戦。




 模擬国連界隈の皆さん、いかがお過ごしでしょうか。私の所属する神戸研究会は本日が研究会後期会議の最初の日で、(きっとディレクの思っていたこととは違う)ドラマチックな展開(?)で幕が開きました。私も老メンなのにいろいろ出しゃばって、肩身が狭い思いです。(笑)

 さて、そんな今だからこそ確認したい「模擬国連を楽しむための6つの努力」について、今回はご紹介したいな、と思います。この6つは独断と偏見(笑)ですが、みなさんの参考になれば嬉しいですね♪ 特に新メンの人向けに書いています。

 それでは、6つの努力です。



1 会議で1度は喋ってみよう。


 会議1回1回で、1度は喋るようにしてみましょう。コーカスのグループ内交渉ならばグループで、インフォーマルの全体討議ならプラカードを上げてみる。まぁ発言によって国益が損なわれる、なんてこともあるかもしれませんが、何も喋らないで国益が増進することもないですよ! とにかく喋ってみること、間違ってもよく分かってなくても喋ってみること。これが模擬国連会議を楽しむ最大の秘訣。

2 メモを取ってみよう。


 人の言ったことってなかなか脳裏から消えていきますよね。これ、聞いている人だけに言えることではなくて、喋っている人にも同じことが言えます。だからメモを取っていましょう。「先ほど○○大使はこう仰っていましたが……」「先ほどの□□発言に賛成で、だから★★……」というように、前の誰かの発言につなげて自分のイイタイコトを言ってみると、会議についていけるようになりますよ^^

3 PCを閉じよう。


 PCは害悪です。スピーチの原稿やDRを書きたくなる気持ちは分かりますが、発言者の顔を見てみることのほうが大事です。人間のコミュニケーションって不思議なもので、発言の内容と発言者の態度が違うときがあるんです。(専門用語ではMessageMetamessageの不一致)言葉ではなくて、身振り手振りや顔の表情を掴む方が、その人が何を言いたいのか分かりやすくなる材料になりますよ! だから、顔が下に向いちゃうPCは閉じてみましょう。どうしても必要になれば、開けばいいんです。因みに筆者は3度ほどPC持ち込まずに会議をやり過ごしたことがあります。(故障したPC買い替えられなかっただけですけどネ)

4 文言を書いてみよう。


 自分のイイタイコトを文言にするのって、意外と難しいんです。なぜかって? それは、決議案(成果文書)が全部文字だからです。自分の頭の中にあるイメージを言語化することはなかなか難しく、5W1Hとか、その他の論理メソッドを使って、上手く自分のイイタイコトをダブりなくモレなく書く必要がありますよね。(MECE思考なんて言うのかもしれません)もしかするとそれを英語で……。タフなことではあるけれど、その分自分が作った文言が載った決議が採択されると「ちょー気持ちいい」ですよ!

5 しっかりYesNoかを考えよう。


空気に流されてはいけません。え、投票行動の話かって? いえいえ、それだけじゃあない。モーションの賛否、グループ内意見調整の賛否、なんだってそうです。Yesか、Noか。グレーゾーンはよくない。棄権、って方法もあるけど、あれは思考放棄というよりは限りなく黒に近いグレー。決して棄権に逃げちゃダメ。やるなら堂々と。
YesNoかを決めるときに、分からないことがあると何も決められないよね。だから発言することが大事だし、質問することが大事。

6 (少し上級者向け?)アドリブで1分スピーチをしてみよう。


 慣れてきたら、原稿抜きでスピーチしてみたいです。まずは1分だけでも。
 棒読みのスピーチは誰も聞いてくれない。我が国の総理は棒読みが多い(?)けど、アメリカのオバマ大統領は聴衆に目で訴えかけてる。この差は大きいんじゃないかな。
 そして、アドリブスピーチは自分がいかに物事を適切に説明できないかを浮き彫りにしてくれる。(たまにカリスマはいるけど。)20秒で説明できるかな、って思っていたことが、意外と3分くらいかかったり、伝えたいことが途中で抜け落ちちゃうことがある。そんな時に、自分のコミュニケーションの癖を見つけることが出来るかもしれない。そうしたら、次のスピーチではもっともっとカッコ良く人に「伝える」ことが出来るようになる!





どうでしたか? 周りの「すごいな~」って思っている人は、結構この6つを実践しているんじゃないでしょうか。もし自分がこの6つをなかなか出来ていなかったら、一つずつ、会議に参加する前に「今日はこの目標をクリアするぞ!」って思ってみてはいかがでしょう。会議が終わったころには、きっと新しい模擬国連の世界があなたを待っています。

2012年10月12日金曜日

関西大会('12)レビュー

10日ほどまえ、関西大会参加者にレビューを配信しました。

もしかすると、他の会議参加者にも有用かもしれませんので、残しておきたいと思います。





はじめに


関西大会が終わって、はや2ヶ月が経とうとしています。皆様いかがお過ごしでしょうか。

会議監督は、これまで後援の企業・スポンサーへの会議報告書、来期の運営を行う会議監督への引き継ぎ書と、自分自身の「企画」面に対するレビューを2つ書いてきました。さてその2つを終え、いざ皆さんに私がこの半年余り考えてきたことを伝えようと3つ目のレビューに取り掛かったのですが、非常に長くなりそうなその気配に、書く側も読む側もこれはだるいだろう、と気づきました。そこで、要点を絞り、決議分析・会議所感を述べて、私から皆さんへのレビューにしたいな、と思います。

さて、レビューを始める前にですが、皆さんに一つだけメッセージを発します。この会議は従来日本の模擬国連が行っている学習メソッドとは、大きく異なるコンセプトを持っていました。端的に表せ、と言われるならば、「自学自習」と答えるのが良いかと思います。今回の会議で皆さんが学んだことは、それぞれ各個人によって大きく異なるでしょう。会議監督として○○を学んでほしかった、ということはいくつかありますが、それよりも皆さんがこの会議から何かを見つけてくれた、という事実の方が嬉しいです。この会議から得たものを、実生活でも学問の面でも、そして次の模擬国連会議の場でも、活かしてもらえたなら幸いです。

それでは、実際にレビューに移りましょう!

1.     決議の分析


ここでは、皆さんが提出した決議がどのようなものだったかを振り返ります。皆さんの会議での振る舞いなどはすべて捨象して、国際社会を研究する一学徒として、皆さんの決議がどのようなものであるのか、を明らかにすることを主眼としています。

決議L.1

決議L.1の特徴は、何と言ってもコンセンサス採択であることです。宇宙法の分野では、異論は大いにありますが、インスタント慣習法理論[1]という考え方があります。これは、簡単に言ってしまうと国連総会の決議を法的確信の表明と見做し、これだけで即座に慣習法が成立する、という考えです。この考えに基づくならば、今回の決議に書かれたことは国際社会の慣習法として結晶化された、ということになるでしょう。それだけ宇宙法の分野では全会一致であるかどうか、は重要な違いです。
この決議の内容に関して、いくつか文を見ながら考察します。

あらゆる対衛星破壊実験を未然に防止する事がスペースデブリの増加を阻止することを強調(Emphasizing)また宇宙における軍備拡張競争の誘発を阻止することも強調し(Also Emphasizing)

 第一に注目する部分はこの前文です。大事なのは、「あらゆる」という部分です。英語だったら“any examine that…”なんて感じになるのでしょうか。あらゆる対衛星破壊実験(以後、ASAT実験)と定義するからには、ASAT実験の定義付けが実は必要なわけですが、とにかくASAT実験っぽい実験はすべてスペースデブリの増加の因子になり得ると表明していることになります。これは、ASATと対弾道弾ミサイル(ABM)実験の違いが重要になるASATの定義付けの問題を回避しているようで、今後の論争を引き起こすトリガーになっていると言えるのではないでしょうか。「あらゆる」を付加したことで、提案国に名を連ねるNATOの面々の軍事的国益が高まっているかどうかと問われれば、私は疑問であると言わざるを得ません。

1.                      以下のことを宣言する。(Declares)
A)                    月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(以下、宇宙条約)の締約国[2]は、自国の行うスペースデブリを発生させる対衛星破壊実験が、同条約第九条の規定に抵触すると信ずる場合はその実験が行われる前に、同条約九条が定める適当な国際的協議を行う必要性があることを強調する。(Emphasizes)
B)                     また、宇宙条約締約国が、他の締約国が行うスペースデブリを発生させる対衛星破壊実験が、宇宙条約第九条の規定に抵触すると信じ、同条約九条が定める適当な事前の国際的協議を行うことを要請する場合には、要請された国は迅速にその協議の開催を行う必要性があることを強調する。(Also Emphasizes)

 次に、主文です。この主文の問題点は、宣言文であるにも関わらず“Emphasizes”に留まっている部分です。おそらく妥協の産物なのでしょうが、第IX条の効力を高める目的がある場合は、States Party(締約国)Calls uponする、といった表現が好ましいと思います。なお、今回日本語を指定したこともあり記述しにくかったと思いますが、英語で表現する際は、States Party needs to …ではなく、States party shallという表現がよいでしょう。これは条約や国連決議でよく使われるやり方なので、助動詞shallを皆さん覚えてください。mustではないのが特徴です。なお、shallほどきつくしたくない、という場合は助動詞mayもしくはmightを使いましょう。mayの場合は、「……してもよい」といったニュアンスになります。
 ではこの表現で決議の有効性がどのように変化したか、ですが、実際の宇宙条約第IX条と比較するとよいかと思います。実際の条文との大きな違いは、「必要性」の有無です。mayからneeds toに変化した、と言い換えることができますが、必要性が存在することは条約からある程度自明だったように思えます。すなわち、法の実効力の意味からすると、この決議の存在から宇宙条約第IX条の実効力が大幅に高まったとは考えにくいと思います。中国が2007年のASAT実験時にこの第IX条を踏み倒したのですが、次回以降も(特に北朝鮮のような国が)踏み倒さない確証がこの決議で得られたとは考えられません。
 条文ごとの分析を行いましたが、最後に全体としての分析を行います。条文の効力は薄いのですが、それでも世界各国がASAT実験に対し危機感を持っていることをコンセンサスで表明できたことに関しては強い意味を持つと考えられます。換言するならば、法的な効力増進はそこまで高まってはいませんが、政治的意味合いとして、宇宙の平和的利用を間接的に促す形になったと言えます。この状況は、対立するNATO・中露双方にとって良いとも言えますし悪いとも言えるでしょう。アメリカにとっては、自らの宇宙軍事開発を阻害しかねない要因を作りましたが、同時にそれはロシアや中国にとっても同じ話です。しかし、宇宙にアクセスを持たない多くの途上国にとってはこの決議がもたらす状況は現状では良いと言えると思われ、ここで実は漁夫の利が生まれたのかな、といった所感です。

決議L.2

 決議L.2の特徴は、何といってもその革新性にあります。若干の学術的批判も加えながら、分析していくことにします。
 まず条文ごとに見ていきます。

宇宙における軍備競争を防止する目的を達成するためにソフトローが有用であることを強調し、(Emphasizing)
1.         加盟国が、国際宇宙行動規範についてEU doc.16560/08(EU code of conduct)をベースにして68会期国際連合総会第一委員会において明文化に向けて議論することを求める。(Calls upon)

 この前文と主文についてです。
 まず、ソフトローとハードローに関して、深夜コーカスでいくつかの議論があった旨を聞いていますので、よく分からないという人は改めて学んでほしいな、と思います。[3]その上でこの前文に批判を加えると、PAROS達成にソフトローが有用である、というのは少し無理がある主張に思えます。というのも、本来ソフトローというのはハードローの欠缺を埋めるものだからです。国連決議でソフトローという単語が用いられることも少ないように思います。(もしかしたら使われたことがないのではないでしょうか)ですので、ここでは例えば「宇宙開発の日々変化する現状に柔軟に対処する必要を考慮し」などとソフトローのメリットが世界に必要なんだ、と前文で示し、その上で主文に移る、といった考えがよいかと思います。
 次いで主文なのですが、多くのEU加盟国はEU行動規範を軍縮会議や国連で討議する必要を感じていないはずです。また、行動規範はかなり多義的な領域を含むため、UN-COPUOSの法小委員会で討議されるのが妥当ではないかと思われます。(実際、法小委は議論を行ったことがあります)このあたりは、BG以上のリサーチが不足していたかな、と会議監督として感じました。

2.         軍縮会議に対して、2013年会期終了までに、作業計画に関する未解決の相違点を克服するとともに、作業計画を採択、履行し、諸交渉の即時開始を可能にするよう招請する。(Invites)
3.         2節に規定されたように作業計画の決定がなされないか、もしくは当該作業計画が履行されない場合には、宇宙空間における軍備競争の防止に関する総会の役割を検討することを含め、多国間軍縮交渉を前進させるための代替策を第68会期総会において審議することを決議する。(Resolves)

さて、この2つの主文は今会議で最も大きなインパクトのあるものかもしれません。66会期決議案「A/C.1/66/L.21[4]PAROSに限って焼き直した形になりますが、重要な点は、PAROSと他の軍縮会議における議題のリンケージを解き放ったことです。
リンケージに対する皆さんの態度に関しては、会議所感のところで改めて述べたいと思います。
この条文は2つの意味で重要です。1つ目は、軍縮会議についてついに国連総会がしびれをきらし、実際に国連がイニシアチブを取って軍縮問題(PAROS)に関わろうとする姿勢を見せたこと、2つ目は、その姿勢がPAROSに限る、ということです。1つ目に関しては、軍縮史上大変大きな事件で、国連総会第一委員会の地位、ひいてはG77の力が相対的に向上することになると思います。2つ目は、PAROS以外の議論を認めないアウトオブアジェンダのためだろうと考えますが、議論に留めて決議には残さない、という選択肢もあったのではないでしょうか。今会議でCDの再活性化の話を行うのは十分妥当であろうと考えますが、決議まで出すということのインパクトはかなり大きいです。このあたりを考慮していたかどうかが、問われるポイントだと思います。
さて、このような決議L.2ですが、投票行動としては棄権が気になります。反対したのはパキスタン1ヶ国に限るのですが、軍縮会議での議論が重要なのだ、と考える国は棄権ではなく反対票を挙げるべきだったと考えます。それくらい、この決議の持つ意味合いは大きいです。また、賛成国の中にもその意味合いを考察できていなかった人は多いのではないでしょうか。
総じて、この決議に関して述べるならば、提案側も提案を受けて投票する側も、決議の重要性を高く認識していなかったように思われます。BGで改革路線を書いたのは事実ですが、その記述を批判的に分析し、国益に適うかどうかの考察をもう少し行っていただけたなら、というのが会議監督の思いです。

決議L.3

 決議L.3は、PPWTの部分に、分割投票によって従来と変わらない文言になっているので、ここで大きく言及はしません。

2.                      対弾道ミサイルシステム又は、その構成部分を展開しないことについて議論することをすべての加盟国に推奨する。(Recommends)
3.                      対弾道ミサイルシステム及びその構成部分に関する制限の有効性の確保を増進するために議論をすることを加盟国に推奨する。(Recommends)

 この2つの主文は、ABMに関して何らかの議論を行え、というものです。従って、アメリカの同盟国(核の傘の下で守られている国々)はこの決議に関しては慎重な姿勢を取るべきでした。なお、この議論は「加盟国に推奨」という形を取っているので、二国間でも多国間でも構わない、といった表現でしょう。今回の場合、米ロで協議を行え、という意思をロシア側が提示しているものと読み取れますが、アメリカが応じるかはかなり疑問で、この文を挿入したメリットはあまり大きくないと考えます。なお、推奨という言葉は弱いものなので、これがどれほどの影響力を持つかは疑問です。

これまでの諸宇宙法において確認されてきた月などの諸天体が人類の共同財産(Common Heritage of Mankind)であるという精神を確認し、(Affirming)

 むしろ、前文のこちらのほうがL.3における重要性は大きいです。諸宇宙法で「人類の共同遺産」精神が確認されているということですが、これは月協定の解釈をその他4宇宙条約に拡張するというものです。
 人類の共同遺産に関しては、BGUPDATA版で解説していますが、南北問題に関して大きな意味合いを持つ概念です。月協定の締約国が少ない理由の一つにこの概念の存在があるので、投票する際に気を付けなければいけない点でした。月協定締約国でないにも関わらず賛成した国の方は、条約の締約有無に関してリサーチできていたかどうかを振り返るいい機会だと思うので、もしできていなかった場合は、今後の模擬国連活動で活かしてほしいと思います。

決議L.4

 決議L.4はかなり単純な構造なのですが、実は大きな意味合いを持ちます。

宇宙の利用方法が多様化する中で、宇宙条約で適応されない範囲が拡大したことを憂慮し、(Regretting)

1.             以下のような宇宙における軍備競争の防止について第68会期総会で協議を行うことを決定する。(Decides)

宇宙空間に適用できる既存の法的レジームがそれ自体としては宇宙の軍備競争の防止を保証しないこと、またその効力を高める必要があり、そのうえで宇宙条約の規制の強化に関する議論を行う。

 宇宙条約がPAROSを達成するに十分でない、ということを的確に述べた決議条文になっています。そのため、既存の条約で宇宙の軍備競争に対処可能であると考える国は、この決議に反対しなければなりません。
 この決議で面白い点は、何といっても投票行動です。会議監督として、パターン化できない投票行動が存在するとは思っていませんでした。この決議に対して棄権/反対する国の特徴をまとめることが出来ないのです。これはなかなか面白い事態です。交渉過程を知らないので何とも言えないのですが、投票をした皆さんは、この決議案に本当に自分の投票行動でよかったのかどうか、再考してみる価値があると思います。 

決議L.5

L.566会期のコピーで、特段議論されたように感じられないので割愛します。


2.      会議の所感


ここからは、会議監督が3日間の会議を終え、感じたことを皆さんに伝えようと思います。

議題について

 この議題に関しては、特にGovernance Issuesが皆さんを悩ませたかもしれません。しかし、米ロといった宇宙の主要アクター以外の国々を担当した方は、このGovernance Issuesこそが今回の肝だったので、しっかり振り返っていただきたい部分です。
 Governance Issuesは、実は核問題を言い換えた論点だと言うことができます。なぜかと言うと、ここでのリンケージの問題がカット・オフ条約の締結などに直結するからです。BGの第4章でジュネーブ軍縮会議について解説しましたが、ここ十数年の核の(特にNATO加盟国の)最大の関心事はカット・オフ条約です。前述の66会期決議案L.21に関しても、カット・オフ条約の交渉開始を謳う決議案とのバッティングによって撤回された、という経緯があるので、この点を理解していたかどうかで会議での姿勢が大きく異なったように思います。

国割について

 皆さんを悩ませたのは、国割かもしれません。特に、アフリカ・南アメリカなどの国々を担当した方には、少々申し訳なかったかもしれないのですが、途上国がこのような議題、すなわち米ロの対立が主軸な問題に対してどう政策立案するか、を問うにはよい材料だと考えていました。海外の模擬国連では、得てして自分の国がどう関わっているか分からない議題も多く議論されます。
 さて、今回の議題に限って言えば、これらの国々にはBG第一章でヒントを与えたつもりでした。すなわち、国連総会は非同盟諸国が数の力を利用して軍縮を東西両陣営に迫っていた場所である、とです。ところが今回は、アメリカ・中露の対立軸に飲まれ、実際にNAMとして活動していたのはL.4の決議作成している国々のみだった、という感じに見受けられました。BGで非同盟諸国の方々に情報を提供してなさすぎたのかもしれませんが、もう少し政策立案があってもよかったのではないかな、と思います。

交渉の様子について

皆さんの交渉の様子は、フロント側から見ていてとても好意的に映りました。まず、ほぼすべての会議参加者が交渉に意欲的に参加していたことです。主体的か、と問われると疑問の残る部分もありましたが、模擬国連初経験もしくは新メンの皆さんが最後の一瞬まで頑張っていたことは記述したいと思います。次に、これは大会のレビューでも伝えましたが、交渉する際の態度が非常に紳士/淑女的であったことです。しっかりprivatepublicが使い分けられ、程よい緊張状態だったと思います。最後に、コーカスの際の皆さんの動きについて言及したいと思います。議論が白熱したときに、一旦他の大使と間を空けて休憩したり、外に出て他の大使と会話したりする姿が見受けられました。これは、実際の交渉現場においても非常に役立つと言われているものです。(『ハーバード流交渉術』などを読んでみてください)交渉に関して、なかなか皆さん巧かったと思います。
逆に問題に映った場所はどこか、ということになりますが、一つ目に正直すぎるかな、ということを挙げます。もう少し狡賢くなってもよいのかな、ということです。いくつか特殊なプロシージャーを用意しましたが、上手く活用できていなかったように思います。特にModerated Caucusに関してはもう少し利用してもよかったのではないかと思います。
二つ目に、議論についての問題を挙げます。今会議を通じて、全体を通しての議論はありませんでした。これ自体は問題ないのですが、問題は皆さんの議論の中にディスコミュニケーションがあったことです。これに関しては、次の節でまとめて説明します。

議論・論理について

 論理について真面目に学んだことのある人は少ないようです。私も論理学を学んではいませんが、ディベートなどで触りだけやったことがあるので、それを念頭に皆さんに伝えたいことがあります。
 議論をする際に、「ほぼ必ず」論理のずれが生じます。この論理のずれは様々なずれ方がありますが、処理方法によって最終的に行き着く解が変わったり、戦略的に操作されたりするので、議論の仕組みを学ぶことは交渉において非常に重要です。
 今回のBGで最も気を配った点は、vol.1 p.73の図です。この図は、出来る限りBGの解説を論理のレベル別に分けています。問題認識から始まり、既存の提案、そして最終的に目指す処理方法、という形で上から下まで並んでいます。このような論点の指示は、おそらく皆さんが経験した模擬国連会議で初めてだろうと思います。何故このような配置にしたのか、というと、たいていの模擬国連会議の論点設定が論理構造に失敗していて、それがゆえに議論のための議論が長期化する傾向にあるからです。論点1と論点2が存在するときに、論点1が解決しなければ論点2の議論が行えない、というような設定を往々にしてよく見ますが、そのようなときは論点を並列的に眺めてはいけません。きっちりと構造立てて、これが解決して初めて次の論点に行けるんだ、と相手に説得できるくらいにまで理解しておきたいものです。
 さて、実際の会議の話に戻しましょう。今回の会議では、ほとんどの参加者の皆さんが既存の枠組みを基に議論をしていました。その中で、論点B群に指定した「どのような」形態で「どの」場所で規制を行うのか、に関して効果的な議論ができていなかったように思います。原因は、論点A群に指定した問題意識の共有が皆さんの中でなされなかったことだと考えます。abcが原因だから、deという対策を打つ――このような流れを皆さんが意識できていたかどうかと言われると疑問です。これはリサーチ・Position Paper執筆段階にも言えることかもしれません。自分の国の政策立案をそのままコピー・模倣するのではなく、「何故」といった原因を探り、どのような対策が望まれるのかを問い直すことは、実はとても大切なことなのかもしれません。
今回の会議では全体で議論する機会がありませんでしたが、議場全体で議論を行う際は間違いなく論理のディスコミュニケーションが生まれます。このときに、軌道修正を行ったり、そこまで至らなくてもディスコミュニケーション自体に気づいたりしないと、ただ時間を浪費することになってしまいます。模擬国連だけでなくあらゆる議論の場で考えられることだろうと思います。この会議に参加したことをきっかけに、改めて論理の大切さを意識してもらえれば幸いです。



3.      最後に

 この夏皆さんに関西大会で出逢えたことは、私の大学生活の中でも一、二を争う大事なことだったのでしょう。正直なことを言えば、国割表を見たときに知った名前がほとんどなく、そのあといろいろと悩みました。様々な大会の国割を見てみてください。たいていの場合、参加者とフロントは何かしらの大会関係以前に構築された人間関係があるように思います。今回の会議は、私にとって、会議監督として初めて見る人との中でどのように企画を成立させるかという、かなりの難問を突き付けられていたように思います。今回の企画の根幹部分の多くを、国割を見てから1ヶ月の時期で決断したことが、その難問ぶりを物語っているように思います。企画側の努力や裏方の事務局の努力によって、今回の企画の基礎は出来上がりました。これに皆さんの参加にあたっての頑張りが加わり、初めてこの企画が成功したのでしょう。会議監督としてこれほどの満足に浸ることができたのは、ひとえに皆さんのおかげです。ありがとう。
ただ、会議中に皆さんと交流することがあまりできなくて、この会議に大使として参加できていないことが悔しくもあります。たまに関東や京都に訪問するので、その際は是非飲みにでも誘ってください!
もしもまた会う日が来れば、次は良き友として、何かを語り合うことができると信じています^^
 最後に、前年度のレセプション時に議長を快諾し、様々な場面で助けていただき、当日には日本語の議長進行で会議監督の想定以上のコンセプトに沿った仕事を行っていただいた議長に、様々なアイデアを互いに生み出しあい、当日には持ち前のパワーと明るさで議場を盛り上げてくれた秘書官に、2年半、模擬国連の後輩として面倒を見ていただき、最後にはプレスを快諾して頂いたプレスに、私のフロントに謝辞を述べ、レビューを終えたいと思います。

20129




[1] BG Vol.2 p.54などを参考にしてください。
[2] 「締約国」とは、条約(効力を生じているかいないかを問わない。)に拘束されることに同意した国をいう。(条約法条約第2f項)
[3] BG vol.1 p.65に記載
[4] BG vol.1 p.52

2012年8月16日木曜日

Position Paperの導入――その光と影


昨日に続き、こんにちは、会議監督です。
本日はこの会議の特徴であるPosition Paper(以後、PP)について、お話したいと思います。



この課題(タスク)は、7/20に参加者に提示され、8/12に提出して頂きました。
これまでの模擬国連でよく採用されてきたQ&A形式のTask Paperとは異なり、各国の政策立案に関するエッセイを書いてもらう形式のPPを採用しています。

前日の記事でもこのPPの狙いに関しては説明しましたので、今回は現状経過を皆さんにお伝えしたいと思います。


〆切の8/12 0時では、43ヶ国(47)38ヶ国(42)の提出が行われ、また、いくつかのトラブルで提出が若干遅れた人も含めると、現在43ヶ国中41ヶ国(45)PPが提出されました。これはかなり高いレベルの提出率であると言えるでしょう。


この要因として、ポジティブな点を考えると、

・他の議題(安保理改革)を参考に、会議監督が作成したサンプルを提示したこと
PPへの移行に、一つ、ワンクッションとして7/31〆切のQ&Aの簡単なタスクを課したこと
・事前交渉を考えたり、WPを作成したり、といった他にすることが無く、専念できた

などが挙げられるでしょう。


逆にネガティブな点としては、

Task Paperほどリサーチしなくても書ききることが容易
・簡単にしようと思えばいくらでも簡単になる

ということが挙げられるでしょう。


では、実際のPPの内容はどうだったかを検討したいと思います。(これは参加者への講評も兼ねています)

PPは、だいたい3つのレベルに分かれていました。それぞれ、

BGの内容をなぞったもの
・国内の状況も考慮に入れ、BGの内容をなぞったもの
・国内状況・BGを上手くまとめ直し、政策立案に至ったもの

とすると、それぞれ3・4・3割の割合くらいか、と考えます。

ただ、BGの内容をなぞる、とはいえ、国際法の法的根拠や自国の主張の根拠を、公式文書(国連決議・軍縮会議決議など)を用いて明らかにしていることが重要です。この点は会議監督が予測していたよりも多くの人が実践していました。これはサンプルの影響が強いように思われます。従来よりも、根拠ある議論が展開されるのではないか、と期待しています。

一方で、BGで強調したRMA(軍事における革命)の影響に関して考察を行っている人は、そこまで多くは見られませんでした。核兵器などの大量破壊兵器を搭載した弾道ミサイルに関して言及がみられる例は多かったのですが、通常兵器の弾道ミサイルによる通常即応型グローバルストライクといった、新しい形態の脅威を考察する狙いが、やや達成できなかったように思います。従来のトレンド(90年代から00年代)に近い議論になるのではないか、と予測されます。

↑ 通常即応型グローバルストライクを説明するNew York Times
図(上のサイトより)




会議監督としての反省点を述べるならば、BGに「ここ数年の議論の歴史」を載せるべきであった、ということが挙げられますが、現実的に可能であったかと問われると難しい部分があります。この議題が模擬国連であまり扱われてこなかったこともあり、大枠を把握することで時間を割いたのが今回の現状でしょう。さらに細部の調査に関しては、今後この議題を研究する後世の会議監督に任せたいと思います。


さて、PAROSに関する議論は、我々は「Governance Issue」と呼んだのですが、軍縮会議(Conference on Disarmament)のリンケージの問題にも含まれます。これは、軍縮会議という唯一の多国間軍縮交渉フォーラムが、コンセンサス採択ゆえに議論が進展していない、という問題です。

一昨年から国連総会でも大々的に取り上げられるようになり、また昨年、野心的な決議案が作成され(採択はされなかった)たこともあり、今回は非常に多くの国が軍縮会議の改革に興味を持っていることがPPから分かりました。こちらの点も、大きく会議に影響するものだろうと考えられます。



PPの導入は、提出率の高さと法的根拠を辿る「相手を説得すること」を念頭に置いたロジカルな自己認識の確立と言った点から、成功と呼んでも良いとは思われますが、一方で様々な課題も見つかりました。今後、参加者の感想を聞きながら、上手く改善を図っていくことが重要であろうと考えます。
また、PPはBGとも極めて連動性が高いように思われます。PPを今後導入していく際には、参加者にどのような質問を投げかけるのか、BGの構成がより一層問われる形になるのではないでしょうか。

2012年8月15日水曜日

第一委員会が変わる・変える、5つの「模擬国連」の問題


 こんにちは、会議監督です。本日は、第12回関西大会第一委員会の事前準備に関しての新しい試みについていくつか紹介したいと思います!




図:模擬国連活動のディレク・デリ(参加者)の意思伝達(筆者作成)



 参加者に提示した今回の会合の事前準備は、これまで関西大会やその他日本で実施されている模擬国連活動の事前準備とやや趣旨を異にしたものになっています。まず今回の事前準備の特徴を説明しますと、


・事前交渉(メール交渉)が無い
・文言の事前作成(=当日の持ち込み)の禁止
Working Paperの格下げ(動議を無くす)
Position Paper


の四点に集約されるか、と思います。


 これまで、模擬国連活動の流れとして、会議参加までに、

〈議題のリサーチ〉
 BGと呼ばれる教科書を用いて、議題に対する背景知識を身に着ける
 ↓
〈担当国のリサーチ〉
 各自、参加者は担当国の内情を外務省HPなどで調査する
 ↓
〈政策立案〉
 各国の国益を算定し、国益に沿った政策を立案する
 ↓
〈事前交渉・文言作成〉
 メールを用いて様々な国と交渉し、事前準備や決議案の文言の作成を行う

 といった段階を経ることが一般的でした。


 リサーチの段階では、Q&A形式のTask Paperというものが会議監督から提示され、参加者はその回答を行います。その後、自国の主張をWorking Paperという形で可視化し、当日のスピーチの準備を行い、さらにその後に決議案の文言案を作成する、ということが通例でしょう。


 今回の会議設定はこの流れにいくつかの問題点を感じ取り、その改善を図った、ということになります。

 問題点とは、具体的には

1)    Task Paperに追われる参加者が、Q&A形式に没頭することで、「答え」という正当性を暗黙のうちにセットしてしまう
2)    文言を事前に(大量に!)作成する人がいるために、その文言ありきの議論に陥り、結果として実質的に討議を行える人が数少ない人に限定される
3)    さらに、自分が有利な(既に自分が検討した文言の)討議の方向に持っていこうとするために、議論の仕方を巡る対立が過熱化する
4)    Working Paperを使って自分に有利な討議の方向に向かわせるために、冒頭に過大な時間の消費と、スピーチの形骸化が起きる
5)    「大会」という場であるはずなのに、メール交渉を行ったものが著しく有利になる構造が出来上がっており、参加者の間に不平等が生じている

などを挙げたいと思います。それぞれ細かく対応点を見ていきたいと思います。


1に関してですが、模擬国連で行われる会議はたいてい簡単に「答え」が見つかるものではありません。ところが、最近の模擬国連活動では、議題の本質的な問題を探るというよりも、そのロールプレイに視点の中心が移っており、担当国のスピーチ原稿をそのまま採用し、「とりあえずその国の意見を言った」気になる、という傾向が強いように思われます。私としては、模擬国連活動の意義は、「全く異なる差異ある文化の中で、自分の住む国の視点から離れ、意見を形成しようと試みる上で、多様性ゆえの国際問題の解決の難しさや、その難しさを乗り越えるべく、画一的な国際問題への視点を離れ、相手を理解しようとする意識を生み出す」シナジー効果にあると思っています。

 そのため、担当国の意見をエッセイ式で書き出すPosition Paperを導入しました。この形式の事前準備は、海外の模擬国連活動では一般にみられるものです。Position PaperTask Paperとは異なり、質問が一切ありません。参加者は自分の(担当国の)イイタイコトを探り、その論拠立てを行い、他国に説得する、というプロセスを辿ります。このエッセイは、上手く書くことができれば、後にスピーチの元になったり、文言案の元になったりすることができるので、非常に有益だと考えています。今回のPosition Paper導入に関する考察は、次のBlogの投稿時に行います。


 次に2に関してです。これは、直近の研究会活動や大会などで感じたことを反映しています。事前に文言を作成することで、文言を作成していない人は作成している人に追随的になってしまい、結果として「交渉」と呼べるような雰囲気が会議に存在しないことに繋がっています。また、議論を行った後にそれを反映した決議案を作成するのか、決議案に基づいて議論を行うのか、いわゆる決義と議論の関係に関して、模擬国連活動を行う人の中で見解が分かれているために、深刻な時間のロスを引き起こしています

 この事態を回避するために、近年「条約採択型」の会議の導入が増えました。これは、既に議長案としてまとまった条約案に関して、事前準備の段階で参加者がコメントを行い、当日はこの修正を中心として議論を行う、という方法です。このやり方は、議論に基づいて条約(決議)を作成するという営みにおいて効率的な成果を挙げてはいるのですが、一方で決議案を作成するという模擬国連活動の魅力を削いでいるきらいがあります。今回は、文言を持ち込ませないこと、またグループを作成しなければ決議案を提出できないような状況を設定することで、決議案を作成する段階でグループ内で意見調整が同時に起きる、つまり「議論」「決議作成」の同時並行型進展をもくろんでいます。成否は大会終了時に分かるのではないかな、と思います。


 続いて3に関してです。これは、2に言及したときに「「決議と議論」の関係の議論による時間のロス」が起こっている、ということに由来します。ここではメール交渉の廃止との関連性について述べたいと思います。

 このような時間のロスを、メール交渉をたくさん行うことによって防止しよう、という考え方が模擬国連活動を行う人の念頭にあります。経験者になればなるほど、メール交渉の重要性と言うものを認識し、リサーチを早め文言案を作成し……ということを考えるかと思います。
個人的には、この見解には同意しかねる部分があります。まず、メール交渉の欠点に関してです。メールをタイプするのは、口頭に比べ時間がかかりますし、対話ではなく一方向に宣告することしかできません。また、Non-verbal communicationといった、非言語的な伝達方法を採用できないことで、非効率な情報伝達になってしまっていることが多いです。その結果、「相手を丸め込んでやろう」という思惑と相まって、メール交渉の議論がむしろ当日の議論の妨げになっている事例がみられると思います。それならば、当日前の交渉を廃止し、イイタイコトをしっかり形作る時間を増やしたほうが、当日の参加者の充実度の向上につながるのではないでしょうか。


4に関しては、模擬国連のプロシージャーと呼ばれるルールに起因する問題を指摘します。Working Paperとは日本語にすると「作業文書」なのですが、日本の模擬国連団体(JMUN)ではこれを国連が出す公式文書と定義し、提出するごとに数分間のスピーチを与えることになっています。このため、自分が喋りたいときにこの動議が提出されることがしばしばありました。私としては、Working Paperのこのような実情が模擬国連活動の促進に大きく影響しているとは思えず、今回の会議では、口頭でのPublic Speakingやリーダーシップ・議論を促進させるファシリテーション能力の向上のため、敢えて視覚に訴えかけるWorking Paperは外すことにしました。


最後に、5に関してですが、これは今後の模擬国連の大会に向けた一つの提言となっています。昨年の関西大会のCOP会議(気候変動枠組条約策定会議)には、私の知人の模擬国連未経験者が参加していました。このように、近年模擬国連活動は様々なところで活用されており、大会が模擬国連団体である日本模擬国連(JMUN)の会員だけでなく、全国の学生が応募可能になる母体になる必要性をひしひしと認識しております。その場合、現状の、団体に所属している研究会・支部の「慣習」に基づいたルールや議論の進め方ではなく、できるだけ簡潔かつスピーディーに模擬国連活動にのめり込むことが出来るようなルール策定が求められていると思われます。そうならば、メール交渉を中心とした「大会外」の模擬国連活動は、模擬国連未経験者にとっては非常にハードルの高いものとなり、議論の妨げにもなりかねません。これは、模擬国連加盟団体のみに言えることではなく、近年、参加する模擬国連会員の経験年数が減少しつつある大会としては、緊急に検討を要請されていることであるでしょう。大会の3日間を、すべての参加者にとって実りのあるものにするよう検討した結果、事前準備はできるだけinteractiveなものではない、一人でpreparationするものとなりました。



これらの事前準備の変更は、研究会中心で過ごしてきた私にとっても、他の模擬国連会員にとってもかなり実験的要素の強いものになりそうです。そのため、関西・関東両方で開催された勉強会や、参加者に配布したpreparation guide、独自のRule of procedureなどを通じて、なるべく会議監督の意図が伝わるように今回の企画を立案しています。

成功するか失敗するか、これはなかなか分かりにくいものではありますが、出来る限り「狙った目的」と「経過状況」、「成果」、参加者の「感想」、「レビュー」などをこのBlogを通じて皆様にお届けできれば、と考えています。


数日後になりますが、大会前に

・「Position Paper」の結果について
・議長との対談――会議を動かすとは?

の以上のコンテンツを当Blogで配信する予定です。



この実験的な模擬国連の試みに関して、ご意見・ご感想があれば、当Blogのコメント欄より記載お願い申し上げます。

長く拙い文書ではありましたが、これにて会議監督より久々の更新とさせていただきます。

2012年7月18日水曜日

今、BGを書いてみる9つの理由


今、BGを書いてみる9つの理由




関西大会・第一委員会会議監督です。つい先日、関西大会の全会議のBGがオンライン上にUPされました。(参加者は閲覧できます。)初めて会議監督の立場からBGを執筆・編集しましたが、終わってみると反省したいことばかりですね……。でもいい思い出です。

 今回は、ブログネタとして、新・旧メン対象に「今BGを書いてみる9つの理由」と題してBG執筆の楽しさといいことを話してみたいと思います。後期会議や春の会議でBGを書いてみようかな、とか、少し難しそうだけど挑戦してみたいな、と思っている人は、是非参考にしてみてください。


1.    書くことに慣れる。

最近はtwitterのご時世。長い文を書くことが無くなってきています。BGは短くても4ページくらい任されるもの。タイプ打ちも早くなるかもしれません……あ、もうPCじゃなくてiPadとかで打つ時代? 時の移り変わり早いですねー

2.    ディレクと仲良くなれる

 その議題を研究した会議監督と仲良くなれます。私のような会議監督と仲良くなってもしょうがないかもしれませんが(苦笑)、議題の世界にのめり込んだ面白い会議監督がたくさんいるのも事実かなぁ、と。その分野にかけての楽しい話もたくさん知っているかもしれません。

3.    資料収集を学ぶ

 書くために必要な資料をどう集めるか、学ぶことになります。私の場合、未だにデスクの左端に本が「つんどく」されてます。どうやって集めるのか、も会議監督が教えてくれるかもしれませんね。また、効率よくどう収集するかも学べることです。流し読みや、一部読みという手法も大事だと実感できるかも……

4.    〆切を学ぶ

 これでかいですね。ついついレポートの〆切って迫ってくるじゃないですか。自分がどれくらいのスピードで書けるのかを学ぶことができます。たぶん卒論や修論であまりに死ぬ状況に追い込まれることがなくなります。
 ちなみに今回、自分は1ヶ月くらい遅れました……笑えないお話。

5.    推敲の大切さを知る

 これ、終わってみないと分かりません。終わって読んでもらって初めて分かるのかも。
 自分が書かなきゃいけないことって6割も書けないもんです。なので、早い段階で原稿を仕上げて、そこから推敲に入る必要があるのですが……その大事さを学べるかもしれません。BGスタッフならば、ディレクが推敲指示与えてくれますね♪

6.    たくさんの視点を学び、視点がつながる

 この感覚は快感です。すごい先輩っているじゃないですか。そういう人って「全然関係ないだろ」という知識を結び付けてきますよね。BG書くと、そういう背後がほんの少し分かるようになる、経験的にそう思います。
 delegatesとして頑張る際にも、応用が効くかもしれませんね^^

7.    一応、胸を張れる分野が出来る

 BGスタッフを頑張ると、その分野で少し偉そうな顔をできます。(特にその会議では無双です)私の場合、新メンの後期会議で全然興味のない教育の援助方式に関して最新の状況を調べたのですが、後に全日本大会のBGで同じ部分を執筆することになりました。
その一方で学問に対する自分の限界を知って、謙虚になれるのもいいことですね。

8.    BGから発展できる

 自分がBGを書くと、書き手側の視点からBGを読むことができるようになります。この書き手は何を意図しているのか? ということを念頭に置きながら読んだり、この部分は世間一般的な見解なのか、執筆者の見解なのか、引用された見解なのか、と与えられた情報としてBGを読むのではなく、発展的に読んだり、ということができるようになります。

9.    会議監督(ディレク)というキャリアを描けるかもしれない

 BGスタッフは会議監督というモギコク・キャリアに一番近いところにあると思います。モギコク・ライフはとても短いと私の友人が言っていた気がしますが……そのキャリアの中で、会議を作ってみたい、と少しでも思っているなら、BGスタッフはそのスタートラインを与えてくれるかもしれません。


以上、BGに関する好き勝手な9つの見解でした。何か疑問・質問があればブログのコメントをご利用ください。
 
茹だるような暑さと迫りくるテストの恐怖の中で、もぎこっかーの楽しい日々に少しでも寄与できれば幸いです。

2012年7月6日金曜日

2次募集について

 ブログをずっと続けて書くのは難しいんだな……と感じています。三日坊主の会議監督です。


 テスト前に所用あって故郷に戻っているのですが……雨がすごいですね。みなさんの家の近くは大丈夫ですか? 川の氾濫には十二分にお気を付けを。






 さて、今回は7/4から始まっている二次募集に関してご連絡させて頂きます。
 二次募集では、一次募集で担当者が決まっていない国、また残念ながらキャンセルされた担当国に希望者が先着順で配属されていきます。なので、「関西大会行ってみたいなぁ」「いろんな人に会ってみたいなぁ」と思っている方は、お早めのご検討をおススメします。


 なお、二次募集の締切は7/12(火曜日)です。


 関西大会のHPも随時更新されているので、皆さん確認してくださいね。


http://www.kansai-mun.org/kmunc12/








 ここからは、第一委員会会議でまだ残っている国(7/6 1時現在)の紹介をさせてもらいますね。






 Algeria, Colombia, Ethiopia, Iran, Kenya, Syrian Arab Republic, Ukraine(7ヶ国)が、現在も募集させて頂いている国になります。






 まだ残っている国の中で、会議監督としては分かりやすい対立軸を持っている、という意味では、Iran, Syria, Algeriaは中東絡みでやりがいのある国でおススメです。
 本大会ではESSでパレスチナ問題が扱われるため、隠れがちな論題になるかもしれませんが、中東地域の政治的問題は依然として世界の課題として残っています。容易に対立軸を炙り出すことはできますが、簡単には解決できない地域の問題です。先日、武器貿易条約(Arms Trade Treaty)策定会議という会議が国連の下で行われたのですが、その際もPalestineの権利の扱いを巡り、条約の本旨とは全く異なる部分で対立が起きました。


 Iranは皆さん御存じのとおり、核問題をめぐって鋭く欧米諸国と対立しています。しかし、一度国内事情を見てみると、日本の報道では浮かんでこないアフマディネジャロ大統領の、宗教と政治の間を巡る苦悩が垣間見られ、政策立案のし甲斐のある国です。希望する方には、日本でのイメージに捉われないリサーチを目指してもらいたいですね。


 Syriaも皆さんご存知の通り、宗教間対立が根深く、内戦状態に突入しているともいわれる大変な国です。そして、昔よりIsraelと係争してきたという歴史があります。今、最も理解が難しい国の一つだと思います。


 Algeriaは、個人的になかなか日本の模擬国連で人気のない国だなぁ、と思っているのですが、今年の春に自分が担当したこともあり、かなり思い入れのある国です。AUの中でも、リビアの隣だからでしょうか、アフリカの一体感を重視するイスラム色の濃い国だと捉えています。アフリカに属しながらも中東に鋭い視線を投げかける国をやってみたい方は、検討してはどうでしょうか。






 Ukraineは、国際宇宙商業シェアの8%を占める、宇宙開発の先進国です。旧ソ連時代に培った能力は、日本にいるとさほど評価されていないように感じますが、洗練された宇宙技術を持っていると言えるでしょう。


 ただ、宇宙の軍事利用に関しては難しい舵取りをしなければいけないかもしれません。アメリカには東欧ミサイル防衛配備計画というものがあり、これにウクライナが絡むことで、ロシアの神経を尖らせる可能性があるのです。アメリカとロシアの二大国のはざまでどう動くか、実に面白い国だと思います。






 Colombiaは、二次募集で唯一の南アメリカの国になります。スペースシャトル・コロンビア号は聞いたことがないでしょうか。残念ながら事故で失われてしまったスペースシャトルなのですが、シャトルの名に冠するほど、コロンビアと宇宙の繋がりは強いと言えます。特に、技術者にとってはその思いが強く、NASA出身のラテンアメリカの人々の尽力により、ここ数年の南アメリカの宇宙利用は急速に進んでいます。地域協力と軍備管理の繋がりを考えるには、いい機会を与えてくれる国でしょう。また、後述の「ボゴタ宣言」の調印国の1つでもあります。






 Ethiopia, Kenyaは、アフリカの宇宙開発に興味はあるのですが、なかなか自国の力だけでは宇宙利用を行うことができない国です。ところが、この2ヶ国は赤道直下にあり、この国の上空を衛星がたくさん飛び交っています。当然、上空に衛星が飛び交っている、ということは打ち上げも行いやすい、ということになります。事実、ケニアの沖合には、以前サンマルコ射場というものがありました。


 ケニアを含む8ヶ国が、以前「ボゴタ宣言」という興味深い見解を打ち立てました。これは、特定の宇宙空間(赤道上空の軌道・高度35,786km, 静止軌道と呼ぶ)に赤道国の主権が及ぶと宣言したものです。当時の新国際経済秩序を希求する途上国の強い意気込みを感じることができますが、今となってはこの宣言の多くの部分が破棄されていると言われています。しかし、宇宙空間に何かしらの利益を得ることができるかもしれない、そのような政策立案を可能足らしめる地理的状況にある国という部分は、注目すべきだと思います。Ethiopiaはこの宣言に調印しておらず、Kenyaは調印しています。さてどのように主張が変わってくるのでしょうか……。








 以上、長くなりましたが、空きのある国についてそれぞれ会議監督からコメントさせて頂きました♪ 会議監督もものすごく調べた、というわけではないので、どの国でも追加リサーチ・政策立案の過程でさらなる国の面白みが発見できると思っています。


 皆さんと、これらの国々の夏の関西大会での出逢いを、会議監督は七夕を明日に控え強く願っています!


 私自身は早く運命の人に出逢いたいですけどね…… (。っω-。) 








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