2012年10月12日金曜日

関西大会('12)レビュー

10日ほどまえ、関西大会参加者にレビューを配信しました。

もしかすると、他の会議参加者にも有用かもしれませんので、残しておきたいと思います。





はじめに


関西大会が終わって、はや2ヶ月が経とうとしています。皆様いかがお過ごしでしょうか。

会議監督は、これまで後援の企業・スポンサーへの会議報告書、来期の運営を行う会議監督への引き継ぎ書と、自分自身の「企画」面に対するレビューを2つ書いてきました。さてその2つを終え、いざ皆さんに私がこの半年余り考えてきたことを伝えようと3つ目のレビューに取り掛かったのですが、非常に長くなりそうなその気配に、書く側も読む側もこれはだるいだろう、と気づきました。そこで、要点を絞り、決議分析・会議所感を述べて、私から皆さんへのレビューにしたいな、と思います。

さて、レビューを始める前にですが、皆さんに一つだけメッセージを発します。この会議は従来日本の模擬国連が行っている学習メソッドとは、大きく異なるコンセプトを持っていました。端的に表せ、と言われるならば、「自学自習」と答えるのが良いかと思います。今回の会議で皆さんが学んだことは、それぞれ各個人によって大きく異なるでしょう。会議監督として○○を学んでほしかった、ということはいくつかありますが、それよりも皆さんがこの会議から何かを見つけてくれた、という事実の方が嬉しいです。この会議から得たものを、実生活でも学問の面でも、そして次の模擬国連会議の場でも、活かしてもらえたなら幸いです。

それでは、実際にレビューに移りましょう!

1.     決議の分析


ここでは、皆さんが提出した決議がどのようなものだったかを振り返ります。皆さんの会議での振る舞いなどはすべて捨象して、国際社会を研究する一学徒として、皆さんの決議がどのようなものであるのか、を明らかにすることを主眼としています。

決議L.1

決議L.1の特徴は、何と言ってもコンセンサス採択であることです。宇宙法の分野では、異論は大いにありますが、インスタント慣習法理論[1]という考え方があります。これは、簡単に言ってしまうと国連総会の決議を法的確信の表明と見做し、これだけで即座に慣習法が成立する、という考えです。この考えに基づくならば、今回の決議に書かれたことは国際社会の慣習法として結晶化された、ということになるでしょう。それだけ宇宙法の分野では全会一致であるかどうか、は重要な違いです。
この決議の内容に関して、いくつか文を見ながら考察します。

あらゆる対衛星破壊実験を未然に防止する事がスペースデブリの増加を阻止することを強調(Emphasizing)また宇宙における軍備拡張競争の誘発を阻止することも強調し(Also Emphasizing)

 第一に注目する部分はこの前文です。大事なのは、「あらゆる」という部分です。英語だったら“any examine that…”なんて感じになるのでしょうか。あらゆる対衛星破壊実験(以後、ASAT実験)と定義するからには、ASAT実験の定義付けが実は必要なわけですが、とにかくASAT実験っぽい実験はすべてスペースデブリの増加の因子になり得ると表明していることになります。これは、ASATと対弾道弾ミサイル(ABM)実験の違いが重要になるASATの定義付けの問題を回避しているようで、今後の論争を引き起こすトリガーになっていると言えるのではないでしょうか。「あらゆる」を付加したことで、提案国に名を連ねるNATOの面々の軍事的国益が高まっているかどうかと問われれば、私は疑問であると言わざるを得ません。

1.                      以下のことを宣言する。(Declares)
A)                    月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(以下、宇宙条約)の締約国[2]は、自国の行うスペースデブリを発生させる対衛星破壊実験が、同条約第九条の規定に抵触すると信ずる場合はその実験が行われる前に、同条約九条が定める適当な国際的協議を行う必要性があることを強調する。(Emphasizes)
B)                     また、宇宙条約締約国が、他の締約国が行うスペースデブリを発生させる対衛星破壊実験が、宇宙条約第九条の規定に抵触すると信じ、同条約九条が定める適当な事前の国際的協議を行うことを要請する場合には、要請された国は迅速にその協議の開催を行う必要性があることを強調する。(Also Emphasizes)

 次に、主文です。この主文の問題点は、宣言文であるにも関わらず“Emphasizes”に留まっている部分です。おそらく妥協の産物なのでしょうが、第IX条の効力を高める目的がある場合は、States Party(締約国)Calls uponする、といった表現が好ましいと思います。なお、今回日本語を指定したこともあり記述しにくかったと思いますが、英語で表現する際は、States Party needs to …ではなく、States party shallという表現がよいでしょう。これは条約や国連決議でよく使われるやり方なので、助動詞shallを皆さん覚えてください。mustではないのが特徴です。なお、shallほどきつくしたくない、という場合は助動詞mayもしくはmightを使いましょう。mayの場合は、「……してもよい」といったニュアンスになります。
 ではこの表現で決議の有効性がどのように変化したか、ですが、実際の宇宙条約第IX条と比較するとよいかと思います。実際の条文との大きな違いは、「必要性」の有無です。mayからneeds toに変化した、と言い換えることができますが、必要性が存在することは条約からある程度自明だったように思えます。すなわち、法の実効力の意味からすると、この決議の存在から宇宙条約第IX条の実効力が大幅に高まったとは考えにくいと思います。中国が2007年のASAT実験時にこの第IX条を踏み倒したのですが、次回以降も(特に北朝鮮のような国が)踏み倒さない確証がこの決議で得られたとは考えられません。
 条文ごとの分析を行いましたが、最後に全体としての分析を行います。条文の効力は薄いのですが、それでも世界各国がASAT実験に対し危機感を持っていることをコンセンサスで表明できたことに関しては強い意味を持つと考えられます。換言するならば、法的な効力増進はそこまで高まってはいませんが、政治的意味合いとして、宇宙の平和的利用を間接的に促す形になったと言えます。この状況は、対立するNATO・中露双方にとって良いとも言えますし悪いとも言えるでしょう。アメリカにとっては、自らの宇宙軍事開発を阻害しかねない要因を作りましたが、同時にそれはロシアや中国にとっても同じ話です。しかし、宇宙にアクセスを持たない多くの途上国にとってはこの決議がもたらす状況は現状では良いと言えると思われ、ここで実は漁夫の利が生まれたのかな、といった所感です。

決議L.2

 決議L.2の特徴は、何といってもその革新性にあります。若干の学術的批判も加えながら、分析していくことにします。
 まず条文ごとに見ていきます。

宇宙における軍備競争を防止する目的を達成するためにソフトローが有用であることを強調し、(Emphasizing)
1.         加盟国が、国際宇宙行動規範についてEU doc.16560/08(EU code of conduct)をベースにして68会期国際連合総会第一委員会において明文化に向けて議論することを求める。(Calls upon)

 この前文と主文についてです。
 まず、ソフトローとハードローに関して、深夜コーカスでいくつかの議論があった旨を聞いていますので、よく分からないという人は改めて学んでほしいな、と思います。[3]その上でこの前文に批判を加えると、PAROS達成にソフトローが有用である、というのは少し無理がある主張に思えます。というのも、本来ソフトローというのはハードローの欠缺を埋めるものだからです。国連決議でソフトローという単語が用いられることも少ないように思います。(もしかしたら使われたことがないのではないでしょうか)ですので、ここでは例えば「宇宙開発の日々変化する現状に柔軟に対処する必要を考慮し」などとソフトローのメリットが世界に必要なんだ、と前文で示し、その上で主文に移る、といった考えがよいかと思います。
 次いで主文なのですが、多くのEU加盟国はEU行動規範を軍縮会議や国連で討議する必要を感じていないはずです。また、行動規範はかなり多義的な領域を含むため、UN-COPUOSの法小委員会で討議されるのが妥当ではないかと思われます。(実際、法小委は議論を行ったことがあります)このあたりは、BG以上のリサーチが不足していたかな、と会議監督として感じました。

2.         軍縮会議に対して、2013年会期終了までに、作業計画に関する未解決の相違点を克服するとともに、作業計画を採択、履行し、諸交渉の即時開始を可能にするよう招請する。(Invites)
3.         2節に規定されたように作業計画の決定がなされないか、もしくは当該作業計画が履行されない場合には、宇宙空間における軍備競争の防止に関する総会の役割を検討することを含め、多国間軍縮交渉を前進させるための代替策を第68会期総会において審議することを決議する。(Resolves)

さて、この2つの主文は今会議で最も大きなインパクトのあるものかもしれません。66会期決議案「A/C.1/66/L.21[4]PAROSに限って焼き直した形になりますが、重要な点は、PAROSと他の軍縮会議における議題のリンケージを解き放ったことです。
リンケージに対する皆さんの態度に関しては、会議所感のところで改めて述べたいと思います。
この条文は2つの意味で重要です。1つ目は、軍縮会議についてついに国連総会がしびれをきらし、実際に国連がイニシアチブを取って軍縮問題(PAROS)に関わろうとする姿勢を見せたこと、2つ目は、その姿勢がPAROSに限る、ということです。1つ目に関しては、軍縮史上大変大きな事件で、国連総会第一委員会の地位、ひいてはG77の力が相対的に向上することになると思います。2つ目は、PAROS以外の議論を認めないアウトオブアジェンダのためだろうと考えますが、議論に留めて決議には残さない、という選択肢もあったのではないでしょうか。今会議でCDの再活性化の話を行うのは十分妥当であろうと考えますが、決議まで出すということのインパクトはかなり大きいです。このあたりを考慮していたかどうかが、問われるポイントだと思います。
さて、このような決議L.2ですが、投票行動としては棄権が気になります。反対したのはパキスタン1ヶ国に限るのですが、軍縮会議での議論が重要なのだ、と考える国は棄権ではなく反対票を挙げるべきだったと考えます。それくらい、この決議の持つ意味合いは大きいです。また、賛成国の中にもその意味合いを考察できていなかった人は多いのではないでしょうか。
総じて、この決議に関して述べるならば、提案側も提案を受けて投票する側も、決議の重要性を高く認識していなかったように思われます。BGで改革路線を書いたのは事実ですが、その記述を批判的に分析し、国益に適うかどうかの考察をもう少し行っていただけたなら、というのが会議監督の思いです。

決議L.3

 決議L.3は、PPWTの部分に、分割投票によって従来と変わらない文言になっているので、ここで大きく言及はしません。

2.                      対弾道ミサイルシステム又は、その構成部分を展開しないことについて議論することをすべての加盟国に推奨する。(Recommends)
3.                      対弾道ミサイルシステム及びその構成部分に関する制限の有効性の確保を増進するために議論をすることを加盟国に推奨する。(Recommends)

 この2つの主文は、ABMに関して何らかの議論を行え、というものです。従って、アメリカの同盟国(核の傘の下で守られている国々)はこの決議に関しては慎重な姿勢を取るべきでした。なお、この議論は「加盟国に推奨」という形を取っているので、二国間でも多国間でも構わない、といった表現でしょう。今回の場合、米ロで協議を行え、という意思をロシア側が提示しているものと読み取れますが、アメリカが応じるかはかなり疑問で、この文を挿入したメリットはあまり大きくないと考えます。なお、推奨という言葉は弱いものなので、これがどれほどの影響力を持つかは疑問です。

これまでの諸宇宙法において確認されてきた月などの諸天体が人類の共同財産(Common Heritage of Mankind)であるという精神を確認し、(Affirming)

 むしろ、前文のこちらのほうがL.3における重要性は大きいです。諸宇宙法で「人類の共同遺産」精神が確認されているということですが、これは月協定の解釈をその他4宇宙条約に拡張するというものです。
 人類の共同遺産に関しては、BGUPDATA版で解説していますが、南北問題に関して大きな意味合いを持つ概念です。月協定の締約国が少ない理由の一つにこの概念の存在があるので、投票する際に気を付けなければいけない点でした。月協定締約国でないにも関わらず賛成した国の方は、条約の締約有無に関してリサーチできていたかどうかを振り返るいい機会だと思うので、もしできていなかった場合は、今後の模擬国連活動で活かしてほしいと思います。

決議L.4

 決議L.4はかなり単純な構造なのですが、実は大きな意味合いを持ちます。

宇宙の利用方法が多様化する中で、宇宙条約で適応されない範囲が拡大したことを憂慮し、(Regretting)

1.             以下のような宇宙における軍備競争の防止について第68会期総会で協議を行うことを決定する。(Decides)

宇宙空間に適用できる既存の法的レジームがそれ自体としては宇宙の軍備競争の防止を保証しないこと、またその効力を高める必要があり、そのうえで宇宙条約の規制の強化に関する議論を行う。

 宇宙条約がPAROSを達成するに十分でない、ということを的確に述べた決議条文になっています。そのため、既存の条約で宇宙の軍備競争に対処可能であると考える国は、この決議に反対しなければなりません。
 この決議で面白い点は、何といっても投票行動です。会議監督として、パターン化できない投票行動が存在するとは思っていませんでした。この決議に対して棄権/反対する国の特徴をまとめることが出来ないのです。これはなかなか面白い事態です。交渉過程を知らないので何とも言えないのですが、投票をした皆さんは、この決議案に本当に自分の投票行動でよかったのかどうか、再考してみる価値があると思います。 

決議L.5

L.566会期のコピーで、特段議論されたように感じられないので割愛します。


2.      会議の所感


ここからは、会議監督が3日間の会議を終え、感じたことを皆さんに伝えようと思います。

議題について

 この議題に関しては、特にGovernance Issuesが皆さんを悩ませたかもしれません。しかし、米ロといった宇宙の主要アクター以外の国々を担当した方は、このGovernance Issuesこそが今回の肝だったので、しっかり振り返っていただきたい部分です。
 Governance Issuesは、実は核問題を言い換えた論点だと言うことができます。なぜかと言うと、ここでのリンケージの問題がカット・オフ条約の締結などに直結するからです。BGの第4章でジュネーブ軍縮会議について解説しましたが、ここ十数年の核の(特にNATO加盟国の)最大の関心事はカット・オフ条約です。前述の66会期決議案L.21に関しても、カット・オフ条約の交渉開始を謳う決議案とのバッティングによって撤回された、という経緯があるので、この点を理解していたかどうかで会議での姿勢が大きく異なったように思います。

国割について

 皆さんを悩ませたのは、国割かもしれません。特に、アフリカ・南アメリカなどの国々を担当した方には、少々申し訳なかったかもしれないのですが、途上国がこのような議題、すなわち米ロの対立が主軸な問題に対してどう政策立案するか、を問うにはよい材料だと考えていました。海外の模擬国連では、得てして自分の国がどう関わっているか分からない議題も多く議論されます。
 さて、今回の議題に限って言えば、これらの国々にはBG第一章でヒントを与えたつもりでした。すなわち、国連総会は非同盟諸国が数の力を利用して軍縮を東西両陣営に迫っていた場所である、とです。ところが今回は、アメリカ・中露の対立軸に飲まれ、実際にNAMとして活動していたのはL.4の決議作成している国々のみだった、という感じに見受けられました。BGで非同盟諸国の方々に情報を提供してなさすぎたのかもしれませんが、もう少し政策立案があってもよかったのではないかな、と思います。

交渉の様子について

皆さんの交渉の様子は、フロント側から見ていてとても好意的に映りました。まず、ほぼすべての会議参加者が交渉に意欲的に参加していたことです。主体的か、と問われると疑問の残る部分もありましたが、模擬国連初経験もしくは新メンの皆さんが最後の一瞬まで頑張っていたことは記述したいと思います。次に、これは大会のレビューでも伝えましたが、交渉する際の態度が非常に紳士/淑女的であったことです。しっかりprivatepublicが使い分けられ、程よい緊張状態だったと思います。最後に、コーカスの際の皆さんの動きについて言及したいと思います。議論が白熱したときに、一旦他の大使と間を空けて休憩したり、外に出て他の大使と会話したりする姿が見受けられました。これは、実際の交渉現場においても非常に役立つと言われているものです。(『ハーバード流交渉術』などを読んでみてください)交渉に関して、なかなか皆さん巧かったと思います。
逆に問題に映った場所はどこか、ということになりますが、一つ目に正直すぎるかな、ということを挙げます。もう少し狡賢くなってもよいのかな、ということです。いくつか特殊なプロシージャーを用意しましたが、上手く活用できていなかったように思います。特にModerated Caucusに関してはもう少し利用してもよかったのではないかと思います。
二つ目に、議論についての問題を挙げます。今会議を通じて、全体を通しての議論はありませんでした。これ自体は問題ないのですが、問題は皆さんの議論の中にディスコミュニケーションがあったことです。これに関しては、次の節でまとめて説明します。

議論・論理について

 論理について真面目に学んだことのある人は少ないようです。私も論理学を学んではいませんが、ディベートなどで触りだけやったことがあるので、それを念頭に皆さんに伝えたいことがあります。
 議論をする際に、「ほぼ必ず」論理のずれが生じます。この論理のずれは様々なずれ方がありますが、処理方法によって最終的に行き着く解が変わったり、戦略的に操作されたりするので、議論の仕組みを学ぶことは交渉において非常に重要です。
 今回のBGで最も気を配った点は、vol.1 p.73の図です。この図は、出来る限りBGの解説を論理のレベル別に分けています。問題認識から始まり、既存の提案、そして最終的に目指す処理方法、という形で上から下まで並んでいます。このような論点の指示は、おそらく皆さんが経験した模擬国連会議で初めてだろうと思います。何故このような配置にしたのか、というと、たいていの模擬国連会議の論点設定が論理構造に失敗していて、それがゆえに議論のための議論が長期化する傾向にあるからです。論点1と論点2が存在するときに、論点1が解決しなければ論点2の議論が行えない、というような設定を往々にしてよく見ますが、そのようなときは論点を並列的に眺めてはいけません。きっちりと構造立てて、これが解決して初めて次の論点に行けるんだ、と相手に説得できるくらいにまで理解しておきたいものです。
 さて、実際の会議の話に戻しましょう。今回の会議では、ほとんどの参加者の皆さんが既存の枠組みを基に議論をしていました。その中で、論点B群に指定した「どのような」形態で「どの」場所で規制を行うのか、に関して効果的な議論ができていなかったように思います。原因は、論点A群に指定した問題意識の共有が皆さんの中でなされなかったことだと考えます。abcが原因だから、deという対策を打つ――このような流れを皆さんが意識できていたかどうかと言われると疑問です。これはリサーチ・Position Paper執筆段階にも言えることかもしれません。自分の国の政策立案をそのままコピー・模倣するのではなく、「何故」といった原因を探り、どのような対策が望まれるのかを問い直すことは、実はとても大切なことなのかもしれません。
今回の会議では全体で議論する機会がありませんでしたが、議場全体で議論を行う際は間違いなく論理のディスコミュニケーションが生まれます。このときに、軌道修正を行ったり、そこまで至らなくてもディスコミュニケーション自体に気づいたりしないと、ただ時間を浪費することになってしまいます。模擬国連だけでなくあらゆる議論の場で考えられることだろうと思います。この会議に参加したことをきっかけに、改めて論理の大切さを意識してもらえれば幸いです。



3.      最後に

 この夏皆さんに関西大会で出逢えたことは、私の大学生活の中でも一、二を争う大事なことだったのでしょう。正直なことを言えば、国割表を見たときに知った名前がほとんどなく、そのあといろいろと悩みました。様々な大会の国割を見てみてください。たいていの場合、参加者とフロントは何かしらの大会関係以前に構築された人間関係があるように思います。今回の会議は、私にとって、会議監督として初めて見る人との中でどのように企画を成立させるかという、かなりの難問を突き付けられていたように思います。今回の企画の根幹部分の多くを、国割を見てから1ヶ月の時期で決断したことが、その難問ぶりを物語っているように思います。企画側の努力や裏方の事務局の努力によって、今回の企画の基礎は出来上がりました。これに皆さんの参加にあたっての頑張りが加わり、初めてこの企画が成功したのでしょう。会議監督としてこれほどの満足に浸ることができたのは、ひとえに皆さんのおかげです。ありがとう。
ただ、会議中に皆さんと交流することがあまりできなくて、この会議に大使として参加できていないことが悔しくもあります。たまに関東や京都に訪問するので、その際は是非飲みにでも誘ってください!
もしもまた会う日が来れば、次は良き友として、何かを語り合うことができると信じています^^
 最後に、前年度のレセプション時に議長を快諾し、様々な場面で助けていただき、当日には日本語の議長進行で会議監督の想定以上のコンセプトに沿った仕事を行っていただいた議長に、様々なアイデアを互いに生み出しあい、当日には持ち前のパワーと明るさで議場を盛り上げてくれた秘書官に、2年半、模擬国連の後輩として面倒を見ていただき、最後にはプレスを快諾して頂いたプレスに、私のフロントに謝辞を述べ、レビューを終えたいと思います。

20129




[1] BG Vol.2 p.54などを参考にしてください。
[2] 「締約国」とは、条約(効力を生じているかいないかを問わない。)に拘束されることに同意した国をいう。(条約法条約第2f項)
[3] BG vol.1 p.65に記載
[4] BG vol.1 p.52

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