2012年8月16日木曜日

Position Paperの導入――その光と影


昨日に続き、こんにちは、会議監督です。
本日はこの会議の特徴であるPosition Paper(以後、PP)について、お話したいと思います。



この課題(タスク)は、7/20に参加者に提示され、8/12に提出して頂きました。
これまでの模擬国連でよく採用されてきたQ&A形式のTask Paperとは異なり、各国の政策立案に関するエッセイを書いてもらう形式のPPを採用しています。

前日の記事でもこのPPの狙いに関しては説明しましたので、今回は現状経過を皆さんにお伝えしたいと思います。


〆切の8/12 0時では、43ヶ国(47)38ヶ国(42)の提出が行われ、また、いくつかのトラブルで提出が若干遅れた人も含めると、現在43ヶ国中41ヶ国(45)PPが提出されました。これはかなり高いレベルの提出率であると言えるでしょう。


この要因として、ポジティブな点を考えると、

・他の議題(安保理改革)を参考に、会議監督が作成したサンプルを提示したこと
PPへの移行に、一つ、ワンクッションとして7/31〆切のQ&Aの簡単なタスクを課したこと
・事前交渉を考えたり、WPを作成したり、といった他にすることが無く、専念できた

などが挙げられるでしょう。


逆にネガティブな点としては、

Task Paperほどリサーチしなくても書ききることが容易
・簡単にしようと思えばいくらでも簡単になる

ということが挙げられるでしょう。


では、実際のPPの内容はどうだったかを検討したいと思います。(これは参加者への講評も兼ねています)

PPは、だいたい3つのレベルに分かれていました。それぞれ、

BGの内容をなぞったもの
・国内の状況も考慮に入れ、BGの内容をなぞったもの
・国内状況・BGを上手くまとめ直し、政策立案に至ったもの

とすると、それぞれ3・4・3割の割合くらいか、と考えます。

ただ、BGの内容をなぞる、とはいえ、国際法の法的根拠や自国の主張の根拠を、公式文書(国連決議・軍縮会議決議など)を用いて明らかにしていることが重要です。この点は会議監督が予測していたよりも多くの人が実践していました。これはサンプルの影響が強いように思われます。従来よりも、根拠ある議論が展開されるのではないか、と期待しています。

一方で、BGで強調したRMA(軍事における革命)の影響に関して考察を行っている人は、そこまで多くは見られませんでした。核兵器などの大量破壊兵器を搭載した弾道ミサイルに関して言及がみられる例は多かったのですが、通常兵器の弾道ミサイルによる通常即応型グローバルストライクといった、新しい形態の脅威を考察する狙いが、やや達成できなかったように思います。従来のトレンド(90年代から00年代)に近い議論になるのではないか、と予測されます。

↑ 通常即応型グローバルストライクを説明するNew York Times
図(上のサイトより)




会議監督としての反省点を述べるならば、BGに「ここ数年の議論の歴史」を載せるべきであった、ということが挙げられますが、現実的に可能であったかと問われると難しい部分があります。この議題が模擬国連であまり扱われてこなかったこともあり、大枠を把握することで時間を割いたのが今回の現状でしょう。さらに細部の調査に関しては、今後この議題を研究する後世の会議監督に任せたいと思います。


さて、PAROSに関する議論は、我々は「Governance Issue」と呼んだのですが、軍縮会議(Conference on Disarmament)のリンケージの問題にも含まれます。これは、軍縮会議という唯一の多国間軍縮交渉フォーラムが、コンセンサス採択ゆえに議論が進展していない、という問題です。

一昨年から国連総会でも大々的に取り上げられるようになり、また昨年、野心的な決議案が作成され(採択はされなかった)たこともあり、今回は非常に多くの国が軍縮会議の改革に興味を持っていることがPPから分かりました。こちらの点も、大きく会議に影響するものだろうと考えられます。



PPの導入は、提出率の高さと法的根拠を辿る「相手を説得すること」を念頭に置いたロジカルな自己認識の確立と言った点から、成功と呼んでも良いとは思われますが、一方で様々な課題も見つかりました。今後、参加者の感想を聞きながら、上手く改善を図っていくことが重要であろうと考えます。
また、PPはBGとも極めて連動性が高いように思われます。PPを今後導入していく際には、参加者にどのような質問を投げかけるのか、BGの構成がより一層問われる形になるのではないでしょうか。

2012年8月15日水曜日

第一委員会が変わる・変える、5つの「模擬国連」の問題


 こんにちは、会議監督です。本日は、第12回関西大会第一委員会の事前準備に関しての新しい試みについていくつか紹介したいと思います!




図:模擬国連活動のディレク・デリ(参加者)の意思伝達(筆者作成)



 参加者に提示した今回の会合の事前準備は、これまで関西大会やその他日本で実施されている模擬国連活動の事前準備とやや趣旨を異にしたものになっています。まず今回の事前準備の特徴を説明しますと、


・事前交渉(メール交渉)が無い
・文言の事前作成(=当日の持ち込み)の禁止
Working Paperの格下げ(動議を無くす)
Position Paper


の四点に集約されるか、と思います。


 これまで、模擬国連活動の流れとして、会議参加までに、

〈議題のリサーチ〉
 BGと呼ばれる教科書を用いて、議題に対する背景知識を身に着ける
 ↓
〈担当国のリサーチ〉
 各自、参加者は担当国の内情を外務省HPなどで調査する
 ↓
〈政策立案〉
 各国の国益を算定し、国益に沿った政策を立案する
 ↓
〈事前交渉・文言作成〉
 メールを用いて様々な国と交渉し、事前準備や決議案の文言の作成を行う

 といった段階を経ることが一般的でした。


 リサーチの段階では、Q&A形式のTask Paperというものが会議監督から提示され、参加者はその回答を行います。その後、自国の主張をWorking Paperという形で可視化し、当日のスピーチの準備を行い、さらにその後に決議案の文言案を作成する、ということが通例でしょう。


 今回の会議設定はこの流れにいくつかの問題点を感じ取り、その改善を図った、ということになります。

 問題点とは、具体的には

1)    Task Paperに追われる参加者が、Q&A形式に没頭することで、「答え」という正当性を暗黙のうちにセットしてしまう
2)    文言を事前に(大量に!)作成する人がいるために、その文言ありきの議論に陥り、結果として実質的に討議を行える人が数少ない人に限定される
3)    さらに、自分が有利な(既に自分が検討した文言の)討議の方向に持っていこうとするために、議論の仕方を巡る対立が過熱化する
4)    Working Paperを使って自分に有利な討議の方向に向かわせるために、冒頭に過大な時間の消費と、スピーチの形骸化が起きる
5)    「大会」という場であるはずなのに、メール交渉を行ったものが著しく有利になる構造が出来上がっており、参加者の間に不平等が生じている

などを挙げたいと思います。それぞれ細かく対応点を見ていきたいと思います。


1に関してですが、模擬国連で行われる会議はたいてい簡単に「答え」が見つかるものではありません。ところが、最近の模擬国連活動では、議題の本質的な問題を探るというよりも、そのロールプレイに視点の中心が移っており、担当国のスピーチ原稿をそのまま採用し、「とりあえずその国の意見を言った」気になる、という傾向が強いように思われます。私としては、模擬国連活動の意義は、「全く異なる差異ある文化の中で、自分の住む国の視点から離れ、意見を形成しようと試みる上で、多様性ゆえの国際問題の解決の難しさや、その難しさを乗り越えるべく、画一的な国際問題への視点を離れ、相手を理解しようとする意識を生み出す」シナジー効果にあると思っています。

 そのため、担当国の意見をエッセイ式で書き出すPosition Paperを導入しました。この形式の事前準備は、海外の模擬国連活動では一般にみられるものです。Position PaperTask Paperとは異なり、質問が一切ありません。参加者は自分の(担当国の)イイタイコトを探り、その論拠立てを行い、他国に説得する、というプロセスを辿ります。このエッセイは、上手く書くことができれば、後にスピーチの元になったり、文言案の元になったりすることができるので、非常に有益だと考えています。今回のPosition Paper導入に関する考察は、次のBlogの投稿時に行います。


 次に2に関してです。これは、直近の研究会活動や大会などで感じたことを反映しています。事前に文言を作成することで、文言を作成していない人は作成している人に追随的になってしまい、結果として「交渉」と呼べるような雰囲気が会議に存在しないことに繋がっています。また、議論を行った後にそれを反映した決議案を作成するのか、決議案に基づいて議論を行うのか、いわゆる決義と議論の関係に関して、模擬国連活動を行う人の中で見解が分かれているために、深刻な時間のロスを引き起こしています

 この事態を回避するために、近年「条約採択型」の会議の導入が増えました。これは、既に議長案としてまとまった条約案に関して、事前準備の段階で参加者がコメントを行い、当日はこの修正を中心として議論を行う、という方法です。このやり方は、議論に基づいて条約(決議)を作成するという営みにおいて効率的な成果を挙げてはいるのですが、一方で決議案を作成するという模擬国連活動の魅力を削いでいるきらいがあります。今回は、文言を持ち込ませないこと、またグループを作成しなければ決議案を提出できないような状況を設定することで、決議案を作成する段階でグループ内で意見調整が同時に起きる、つまり「議論」「決議作成」の同時並行型進展をもくろんでいます。成否は大会終了時に分かるのではないかな、と思います。


 続いて3に関してです。これは、2に言及したときに「「決議と議論」の関係の議論による時間のロス」が起こっている、ということに由来します。ここではメール交渉の廃止との関連性について述べたいと思います。

 このような時間のロスを、メール交渉をたくさん行うことによって防止しよう、という考え方が模擬国連活動を行う人の念頭にあります。経験者になればなるほど、メール交渉の重要性と言うものを認識し、リサーチを早め文言案を作成し……ということを考えるかと思います。
個人的には、この見解には同意しかねる部分があります。まず、メール交渉の欠点に関してです。メールをタイプするのは、口頭に比べ時間がかかりますし、対話ではなく一方向に宣告することしかできません。また、Non-verbal communicationといった、非言語的な伝達方法を採用できないことで、非効率な情報伝達になってしまっていることが多いです。その結果、「相手を丸め込んでやろう」という思惑と相まって、メール交渉の議論がむしろ当日の議論の妨げになっている事例がみられると思います。それならば、当日前の交渉を廃止し、イイタイコトをしっかり形作る時間を増やしたほうが、当日の参加者の充実度の向上につながるのではないでしょうか。


4に関しては、模擬国連のプロシージャーと呼ばれるルールに起因する問題を指摘します。Working Paperとは日本語にすると「作業文書」なのですが、日本の模擬国連団体(JMUN)ではこれを国連が出す公式文書と定義し、提出するごとに数分間のスピーチを与えることになっています。このため、自分が喋りたいときにこの動議が提出されることがしばしばありました。私としては、Working Paperのこのような実情が模擬国連活動の促進に大きく影響しているとは思えず、今回の会議では、口頭でのPublic Speakingやリーダーシップ・議論を促進させるファシリテーション能力の向上のため、敢えて視覚に訴えかけるWorking Paperは外すことにしました。


最後に、5に関してですが、これは今後の模擬国連の大会に向けた一つの提言となっています。昨年の関西大会のCOP会議(気候変動枠組条約策定会議)には、私の知人の模擬国連未経験者が参加していました。このように、近年模擬国連活動は様々なところで活用されており、大会が模擬国連団体である日本模擬国連(JMUN)の会員だけでなく、全国の学生が応募可能になる母体になる必要性をひしひしと認識しております。その場合、現状の、団体に所属している研究会・支部の「慣習」に基づいたルールや議論の進め方ではなく、できるだけ簡潔かつスピーディーに模擬国連活動にのめり込むことが出来るようなルール策定が求められていると思われます。そうならば、メール交渉を中心とした「大会外」の模擬国連活動は、模擬国連未経験者にとっては非常にハードルの高いものとなり、議論の妨げにもなりかねません。これは、模擬国連加盟団体のみに言えることではなく、近年、参加する模擬国連会員の経験年数が減少しつつある大会としては、緊急に検討を要請されていることであるでしょう。大会の3日間を、すべての参加者にとって実りのあるものにするよう検討した結果、事前準備はできるだけinteractiveなものではない、一人でpreparationするものとなりました。



これらの事前準備の変更は、研究会中心で過ごしてきた私にとっても、他の模擬国連会員にとってもかなり実験的要素の強いものになりそうです。そのため、関西・関東両方で開催された勉強会や、参加者に配布したpreparation guide、独自のRule of procedureなどを通じて、なるべく会議監督の意図が伝わるように今回の企画を立案しています。

成功するか失敗するか、これはなかなか分かりにくいものではありますが、出来る限り「狙った目的」と「経過状況」、「成果」、参加者の「感想」、「レビュー」などをこのBlogを通じて皆様にお届けできれば、と考えています。


数日後になりますが、大会前に

・「Position Paper」の結果について
・議長との対談――会議を動かすとは?

の以上のコンテンツを当Blogで配信する予定です。



この実験的な模擬国連の試みに関して、ご意見・ご感想があれば、当Blogのコメント欄より記載お願い申し上げます。

長く拙い文書ではありましたが、これにて会議監督より久々の更新とさせていただきます。

2012年7月18日水曜日

今、BGを書いてみる9つの理由


今、BGを書いてみる9つの理由




関西大会・第一委員会会議監督です。つい先日、関西大会の全会議のBGがオンライン上にUPされました。(参加者は閲覧できます。)初めて会議監督の立場からBGを執筆・編集しましたが、終わってみると反省したいことばかりですね……。でもいい思い出です。

 今回は、ブログネタとして、新・旧メン対象に「今BGを書いてみる9つの理由」と題してBG執筆の楽しさといいことを話してみたいと思います。後期会議や春の会議でBGを書いてみようかな、とか、少し難しそうだけど挑戦してみたいな、と思っている人は、是非参考にしてみてください。


1.    書くことに慣れる。

最近はtwitterのご時世。長い文を書くことが無くなってきています。BGは短くても4ページくらい任されるもの。タイプ打ちも早くなるかもしれません……あ、もうPCじゃなくてiPadとかで打つ時代? 時の移り変わり早いですねー

2.    ディレクと仲良くなれる

 その議題を研究した会議監督と仲良くなれます。私のような会議監督と仲良くなってもしょうがないかもしれませんが(苦笑)、議題の世界にのめり込んだ面白い会議監督がたくさんいるのも事実かなぁ、と。その分野にかけての楽しい話もたくさん知っているかもしれません。

3.    資料収集を学ぶ

 書くために必要な資料をどう集めるか、学ぶことになります。私の場合、未だにデスクの左端に本が「つんどく」されてます。どうやって集めるのか、も会議監督が教えてくれるかもしれませんね。また、効率よくどう収集するかも学べることです。流し読みや、一部読みという手法も大事だと実感できるかも……

4.    〆切を学ぶ

 これでかいですね。ついついレポートの〆切って迫ってくるじゃないですか。自分がどれくらいのスピードで書けるのかを学ぶことができます。たぶん卒論や修論であまりに死ぬ状況に追い込まれることがなくなります。
 ちなみに今回、自分は1ヶ月くらい遅れました……笑えないお話。

5.    推敲の大切さを知る

 これ、終わってみないと分かりません。終わって読んでもらって初めて分かるのかも。
 自分が書かなきゃいけないことって6割も書けないもんです。なので、早い段階で原稿を仕上げて、そこから推敲に入る必要があるのですが……その大事さを学べるかもしれません。BGスタッフならば、ディレクが推敲指示与えてくれますね♪

6.    たくさんの視点を学び、視点がつながる

 この感覚は快感です。すごい先輩っているじゃないですか。そういう人って「全然関係ないだろ」という知識を結び付けてきますよね。BG書くと、そういう背後がほんの少し分かるようになる、経験的にそう思います。
 delegatesとして頑張る際にも、応用が効くかもしれませんね^^

7.    一応、胸を張れる分野が出来る

 BGスタッフを頑張ると、その分野で少し偉そうな顔をできます。(特にその会議では無双です)私の場合、新メンの後期会議で全然興味のない教育の援助方式に関して最新の状況を調べたのですが、後に全日本大会のBGで同じ部分を執筆することになりました。
その一方で学問に対する自分の限界を知って、謙虚になれるのもいいことですね。

8.    BGから発展できる

 自分がBGを書くと、書き手側の視点からBGを読むことができるようになります。この書き手は何を意図しているのか? ということを念頭に置きながら読んだり、この部分は世間一般的な見解なのか、執筆者の見解なのか、引用された見解なのか、と与えられた情報としてBGを読むのではなく、発展的に読んだり、ということができるようになります。

9.    会議監督(ディレク)というキャリアを描けるかもしれない

 BGスタッフは会議監督というモギコク・キャリアに一番近いところにあると思います。モギコク・ライフはとても短いと私の友人が言っていた気がしますが……そのキャリアの中で、会議を作ってみたい、と少しでも思っているなら、BGスタッフはそのスタートラインを与えてくれるかもしれません。


以上、BGに関する好き勝手な9つの見解でした。何か疑問・質問があればブログのコメントをご利用ください。
 
茹だるような暑さと迫りくるテストの恐怖の中で、もぎこっかーの楽しい日々に少しでも寄与できれば幸いです。

2012年7月6日金曜日

2次募集について

 ブログをずっと続けて書くのは難しいんだな……と感じています。三日坊主の会議監督です。


 テスト前に所用あって故郷に戻っているのですが……雨がすごいですね。みなさんの家の近くは大丈夫ですか? 川の氾濫には十二分にお気を付けを。






 さて、今回は7/4から始まっている二次募集に関してご連絡させて頂きます。
 二次募集では、一次募集で担当者が決まっていない国、また残念ながらキャンセルされた担当国に希望者が先着順で配属されていきます。なので、「関西大会行ってみたいなぁ」「いろんな人に会ってみたいなぁ」と思っている方は、お早めのご検討をおススメします。


 なお、二次募集の締切は7/12(火曜日)です。


 関西大会のHPも随時更新されているので、皆さん確認してくださいね。


http://www.kansai-mun.org/kmunc12/








 ここからは、第一委員会会議でまだ残っている国(7/6 1時現在)の紹介をさせてもらいますね。






 Algeria, Colombia, Ethiopia, Iran, Kenya, Syrian Arab Republic, Ukraine(7ヶ国)が、現在も募集させて頂いている国になります。






 まだ残っている国の中で、会議監督としては分かりやすい対立軸を持っている、という意味では、Iran, Syria, Algeriaは中東絡みでやりがいのある国でおススメです。
 本大会ではESSでパレスチナ問題が扱われるため、隠れがちな論題になるかもしれませんが、中東地域の政治的問題は依然として世界の課題として残っています。容易に対立軸を炙り出すことはできますが、簡単には解決できない地域の問題です。先日、武器貿易条約(Arms Trade Treaty)策定会議という会議が国連の下で行われたのですが、その際もPalestineの権利の扱いを巡り、条約の本旨とは全く異なる部分で対立が起きました。


 Iranは皆さん御存じのとおり、核問題をめぐって鋭く欧米諸国と対立しています。しかし、一度国内事情を見てみると、日本の報道では浮かんでこないアフマディネジャロ大統領の、宗教と政治の間を巡る苦悩が垣間見られ、政策立案のし甲斐のある国です。希望する方には、日本でのイメージに捉われないリサーチを目指してもらいたいですね。


 Syriaも皆さんご存知の通り、宗教間対立が根深く、内戦状態に突入しているともいわれる大変な国です。そして、昔よりIsraelと係争してきたという歴史があります。今、最も理解が難しい国の一つだと思います。


 Algeriaは、個人的になかなか日本の模擬国連で人気のない国だなぁ、と思っているのですが、今年の春に自分が担当したこともあり、かなり思い入れのある国です。AUの中でも、リビアの隣だからでしょうか、アフリカの一体感を重視するイスラム色の濃い国だと捉えています。アフリカに属しながらも中東に鋭い視線を投げかける国をやってみたい方は、検討してはどうでしょうか。






 Ukraineは、国際宇宙商業シェアの8%を占める、宇宙開発の先進国です。旧ソ連時代に培った能力は、日本にいるとさほど評価されていないように感じますが、洗練された宇宙技術を持っていると言えるでしょう。


 ただ、宇宙の軍事利用に関しては難しい舵取りをしなければいけないかもしれません。アメリカには東欧ミサイル防衛配備計画というものがあり、これにウクライナが絡むことで、ロシアの神経を尖らせる可能性があるのです。アメリカとロシアの二大国のはざまでどう動くか、実に面白い国だと思います。






 Colombiaは、二次募集で唯一の南アメリカの国になります。スペースシャトル・コロンビア号は聞いたことがないでしょうか。残念ながら事故で失われてしまったスペースシャトルなのですが、シャトルの名に冠するほど、コロンビアと宇宙の繋がりは強いと言えます。特に、技術者にとってはその思いが強く、NASA出身のラテンアメリカの人々の尽力により、ここ数年の南アメリカの宇宙利用は急速に進んでいます。地域協力と軍備管理の繋がりを考えるには、いい機会を与えてくれる国でしょう。また、後述の「ボゴタ宣言」の調印国の1つでもあります。






 Ethiopia, Kenyaは、アフリカの宇宙開発に興味はあるのですが、なかなか自国の力だけでは宇宙利用を行うことができない国です。ところが、この2ヶ国は赤道直下にあり、この国の上空を衛星がたくさん飛び交っています。当然、上空に衛星が飛び交っている、ということは打ち上げも行いやすい、ということになります。事実、ケニアの沖合には、以前サンマルコ射場というものがありました。


 ケニアを含む8ヶ国が、以前「ボゴタ宣言」という興味深い見解を打ち立てました。これは、特定の宇宙空間(赤道上空の軌道・高度35,786km, 静止軌道と呼ぶ)に赤道国の主権が及ぶと宣言したものです。当時の新国際経済秩序を希求する途上国の強い意気込みを感じることができますが、今となってはこの宣言の多くの部分が破棄されていると言われています。しかし、宇宙空間に何かしらの利益を得ることができるかもしれない、そのような政策立案を可能足らしめる地理的状況にある国という部分は、注目すべきだと思います。Ethiopiaはこの宣言に調印しておらず、Kenyaは調印しています。さてどのように主張が変わってくるのでしょうか……。








 以上、長くなりましたが、空きのある国についてそれぞれ会議監督からコメントさせて頂きました♪ 会議監督もものすごく調べた、というわけではないので、どの国でも追加リサーチ・政策立案の過程でさらなる国の面白みが発見できると思っています。


 皆さんと、これらの国々の夏の関西大会での出逢いを、会議監督は七夕を明日に控え強く願っています!


 私自身は早く運命の人に出逢いたいですけどね…… (。っω-。) 








画像 Copyright: http://sozai.rash.jp/p/000047.html

2012年6月15日金曜日

論点!

最近、コブクロのmiss youという曲にハマっている会議監督です。別に失恋したいわけではありません。
というわけで、お久しぶりです。


……先々週の日曜日に論点について書く、と言っていたのに、さすが筆不精ですね。
どれだけ遅れたんだ、という感じですが、今会議の論点を説明させて頂こうと思います。






まずは大まかな図を。



これだけではさすがに分からないので、少しBGから先取りしちゃいましょう♪


現状認識・問題意識に関する論点群/解決策に関する論点群

 (どの会議でもそうであるが)当会議は現状認識・問題意識に関する論点群と解決策に関する論点群に分かれる。通常の会議はどちらかが省略され、もう一方に包含されていることが多いため、この分類は新鮮に見えるかもしれないが、基本的に他の会議と特別異なることを行うわけではない。
 現状認識・問題意識に関する論点群(A論点)は、現状の問題を国連がどのように意思表示するか、ということになる。基本的には決議案の前文になるべき部分を議論して頂く論点である。
 解決策に関する論点群(B論点)は、A論点での討議を経て、国連がどのように解決策を提示するか、ということになる。基本的に決議の主文になるべき部分を議論して頂く論点になる。


各論点におけるポイント 

各論点に関して、BGの情報とどのような思考の流れで討議が進むのか、会議監督の想定図を掲載した。この議題は、要点の部分にも記載したが、会議監督としては“Issue problems”“Governance problems”に分かれるのではないか、と考えている。図の左側にある Issue problems”は議題そのもののイシュー、すなわち宇宙の軍備問題に関して何を問題視し、新たに何を規制するか、という形である。これに対し図の右側にある “Governance problems”では、政治的な問題が軍備問題の解決を妨げていると考える 。特にCDの停滞に関して警鐘を鳴らし、例年の決議に載っているAd Hoc委員会の再設置が何故出来ていないのか、またCD以外の場での解決を図ることはできないか、を考える。

論点A-1. 現行法で規制されていない宇宙の軍事問題

この論点では、今解決しなければならない問題を浮き彫りにして頂く。ここでの問題は、第一委員会の性格上、「国際の平和と安全保障(International peace and security)」に対し悪影響を与えるもの[1])と定義しよう。この論点でdelegatesには以下のdelegates questionsをはじめとして、本論点に関するあらゆる問題について考えてもらいたい。

Missile Defenseは国際の平和と安全保障に悪影響を与えるか?
スペースデブリを生むASAT実験は国際の平和と安全保障に悪影響を与えるか?
宇宙の平和的利用と弾道ミサイルの開発はどのように捉えられるべきか?
北朝鮮・インド・パキスタンなどが行っている弾道ミサイルの発射は問題か?
宇宙空間での軍事活動に関して自衛権はどこまで許容されるのか?
自衛権の発動に関し、反撃はどのレベルまで許容されるか? 例えばサイバー戦が勃発したときに、自衛権の発動として衛星を撃墜することは国際法上許容されているか?

論点A-2. 問題解決を阻害している要因

 この論点では、PAROSそのものが進展していない理由を考察して頂く。当然、CDにおけるAd Hoc委員会の設置の失敗などが問題になろう。delegates questionsとして皆さんにこの論点について以下のような問いかけを行う。

PAROS Ad Hoc委員会を開くにはどうすればよいか?
作業計画を巡る対立の解消のためにはどうすればよいか?

 論点B-1. 新たな軍事規制の内容

 この論点では、新たな軍事規制の内容について考察して頂くことになる。論点A-1の結果が直接反映されることになると考えている。Ch.5で議論した内容が深く関わるだろう。包括的アプローチによる規制か、個別的アプローチ、例えばASATモラトリアムか、などの議論が展開されると期待している。

 論点B-2. 規制の法形態

 この論点では、B-1で考察された議論はどのような法文書によって採択されるべきか、ということを論じていただく。すなわち、ハードローとして条約化を目指すのか、まず決議という形で妥結して条約化する方向に向かうか、それともソフトローでの規制を目指すか、である。交渉過程において、B-2の議論如何によってB-1の内容が変動する、というような論点が相互に影響し合うことは考えられる。

 論点B-3. 規制する際の文書の採択場

 この論点ではさらに、B-2で考案された法文書をどこで採択するのか、という問題になる。現在ならばジュネーヴ軍縮会議のAd Hoc委員会ということになっているが、A/C.1/66/L.21のように、Open-endの委員会を設けるべきだ、という意見や、CDの枠外で議論すべき、という意見がある。また、EUCode of Conductなどは、もしかしたらオタワ・プロセスのように有志のみで規範の作成を開始しようとするかもしれない。このような動きが国際社会にどう影響を与えるかも論じられるだろう。ゆえに、この論点では、Space securitySpace safetyの区分けをしっかり考察することが重要となる。B-2と同じく、論点が相互に影響し合うことになることが予想される。


[1]) 「国際の平和と安全保障に対する脅威」(threat to the international peace and security)ではないことに注意してほしい。




※ 以上の文書は最終版BGでは変更されている可能性もある。







どうでしょうか?
これ、実はBGの最後のほうの章なので、わけのわかんない用語が並んでますよね^^;

ただ、なんとなくこんなことやるのかなー、と感じてくれるとうれしいですね。



会議監督的な、今会議のポイントは、図で言う右側、つまり"Governance problems"がどう取り扱われるか、になると思っています。

これは今熱い問題なんですよー!

現実でも動きがあって、臨場感を持って議論できるんじゃないかな、と思います。

具体的な内容は複雑なのでBGにて、ということになりますが……

少しでも感心をもってもらえるとうれしいです。




さて、ほとんどコピペになってしまったのですが、会議監督はゼミのレジュメを作成しなくてはいけません^^;
後日、改めて皆さんに説明したいと思いますので、またまた遅くなるかもしれませんが、このブログに投稿させて頂きますね。

それでは、失礼します<(_ _)>

2012年5月31日木曜日

募集期間スタート!&会議設定の意図

こんにちは、会議監督です。


ついに第12回模擬国連会議関西大会の募集期間が始まりましたね:D
去年の今頃はわくわくしてた覚えがあります。パリ講和会議とGA-Pleで迷ってたんですよね……。


http://www.kansai-mun.org/kmunc12/
↑ここから様々な会議情報を見て、応募することができますよ!


さて、今回はどのようなもぎこっかーを想定して会議を開くか、という点を紹介します。
つまり、会議設定の意図、ですね。






会議設定意図




自分の会議で重要視するのは、


1. パブリック・スピーキング
2. 企画力・発信力


です。つまり、よく「アウトプット」能力と呼ばれるものだろうと思っています。


これらの能力は、国際会議のシミュレーションに留まらず、実社会のあらゆる部分に応用できるものではないでしょうか。




分かりやすい英語なので聞き取れるかとは思いますが、国際政治を学ぶだけが模擬国連ではないと思います。決議という目標に向かってどのように相手を説得し、討議し、議論をまとめていくか。そこにはリーダーシップやファシリテーションといった能力だけでなく、議論を自分の中で構築しなおす論理力や、効率よく問題の本質を見抜く力などが必要となってくるでしょう。


これは最近の模擬国連に欠けていることではないか、と会議監督は少し感じています。グルーピング、と呼ばれる行為の中では、ネゴシエーション力やリーダーシップがその場でも必要とされます。議場全体を統率する人だけでなく、小さいグループででもイニシアチブを巡って人と人のインタラクティヴな行為が行われることが可能であることが模擬国連のよいところではないか、と思っているのですが、最近の会議ではどうもその要素が小さくなっているように感じました。




さらに、模擬国連のよいところは必ず全員に全体に向けて発信する機会があるということでしょう。人前で喋ることが苦手だったり、即時に相手のコトバに返答することが難しい、という人は、是非スピーチでパブリック・スピーキング力を高めてほしいと思います。このスピーチは私のお気に入りなのですが(笑)おもしろいだけで済ませてはいけない要素があります。このスピーチは、すべてリスニングすれば分かりますが、かなり充実したインプットがあって初めて成り立っているものです。


つまり、
パブリック・スピーキングと企画力・発信力を実現する手段として、模擬国連は以下の要素があり、これらを大きく活かす会議としたい、
というのが私の願いです。


・スピーチ
・全体でのファシリテーション
・全体でのリーダーシップ
・全体でのネゴシエーション
・グループでのリーダーシップ
・グループでのネゴシエーション


これらの目標を最大限達成するため、決議は日本語としました。これも大きな特徴でしょう!






Welcome these delegates! 




このような会議設定なので、特にこんな人には自分の会議をおススメしたいです!


・自分のパブリック・スピーキングがどれくらい通用するか試してみたいモギコク経験者
・多くの人に認めてもらえるような魅力ある政策立案を行いたいモギコク経験者
・自分の意見を効果的に伝える能力を伸ばしたい新メンの方々
・意見を発信するのに長けた先輩に出逢ってみたい新メンの方々


↑上記のような方々は、是非とも私の会議へ:D




ちなみに、会議でどのような議論が行われるのか、については↓をご覧ください。
http://www.kansai-mun.org/kmunc12/points-and-theme-C1.html#gidai


宇宙に情熱ある人も大歓迎です!







それでは、以上会議監督からでした!

次回は、日曜日までに論点の概略について連絡したいと思います!

2012年5月10日木曜日

ブログ移行&BG報告

こんにちは、会議監督です。

皆さんに公開しようと思っていたブログの記事を、こちらに移しました。
(以前のブログは記事溜めのため、非公開にしていたので、誰も読んだことがないと思うので、問題ないですよね!)


最近はBGの執筆に追われています。つまり1か月に間に合わなかったということですね><

平井堅さんとスピッツの草野さんのカバー曲に癒されてます。皆さんもよかったら聞いてみてください!



先ほどBGという言葉を使いましたが、まだ模擬国連をよく御存じのないために。

BGというのは、Background Guideの略称ことになります。一体どういうモノか、と言いますと、模擬国連でシミュレーションする会議に参加する際に、参加者に配布される「会議知識をまとめた冊子」になります。



さて、そのBGの内容についてのお話ですが、ディレクの完成度は50%を越えたかなぁ、という感じです。
焦ってます。はい。

これまでBGスタッフは何度かやったことがあるのですが、それでも難しいものですねえ……


私のBGでは、数名のスタッフが原稿を書いてくださっています。

チェア・セクを含めると、

京都研究会……3人
国立研究会……3人
駒場研究会……1人

が私のスタッフです。
もしかしたら、皆さんのお知り合いが書いているかもしれませんね!


それでは、以上、会議監督からでした。